前回はXのいいね非表示は改善だと書いたのですが、もちろんそうは見ない方もいます。
むしろ改悪、それも最悪の改悪だと分析する人もいるのです。
たとえばこういった意見です。
【Xのタイムラインからいいね&リポストの数が非表示に?マスク氏が言及】https://t.co/fEg6A4OCaz
— マライ・メントライン@職業はドイツ人 (@marei_de_pon) 2024年3月9日
ツイートの「インプレ数」だけが表示される仕様になるらしい。要するに課金収益の指標たる「インプレ数」だけを、皆が追うようにしたいのだ。
インプレゾンビどもがウハウハ喜ぶ展開で、最悪最低だ。
確かにこれも納得のいく分析です。いいねもRP数もなくなり、投稿の評価がインプレ数だけに一本化されるなら、儲けたい人はインプレ数稼ぎに走るでしょう。
私はいいね数で投稿の価値が決まる風潮はおかしいと思っていたので、いいね数の非表示化は歓迎していたのですが、インプレッション数だけが表示されることのデメリットは確かにありそうです。
このデメリットについて、マライ・メントラインさんはこのように解説しています。
ということで、たとえば以下のゆうき先生のツイートよりも、トレンド語句を含む記事を単純コピペした
— マライ・メントライン@職業はドイツ人 (@marei_de_pon) 2024年3月9日
「0リポスト・3イイネ・10万表示」の、わけわからないお花畑ダンス動画ツイートが遥かに「人気ツイート」扱いされるということです。
その方が収益マシンとして合理的だから。
クソ改変すぎますね。 pic.twitter.com/0m4N0cJQop
インプレッション数至上主義を取ることで、悪貨が良貨を駆逐してしまうことになるというのです。
最悪の可能性を考慮するなら、たしかにそうなるでしょう。
今でさえおかしな投稿が幅を利かせているのに、いいね数が非表示になったら、インプレッション数以外の評価軸がなくなり、投稿の質の評価が見えなくなります。
いいね数やRP数が、インプレッションとは別の軸の評価であるとすれば、これを見えなくすることは改悪になる可能性があります。
この予測が当たり、ますますインプレゾンビが多数徘徊する未来がやってくるとすれば、確実にBlueskyに移住する人は増えるでしょう。
Xでブルースカイについて検索してみると、「Xよりずっと治安がいい」という投稿が目立ちます。
現時点ですでに、Xの治安悪化を嘆く声は多いのです。
コロナ禍の時点ですでにツイッターの治安は悪化していましたが、ツイッターがXになって以来、治安悪化はさらに加速しています。
ご存じのとおり、収益プログラムが開始されてインプレゾンビが増え、また収益目当てでデマや陰謀論をばらまく人が増えたからです。
いいね非表示でこの傾向がさらに加速するなら、ブルースカイへの人口流出は止められないでしょう。
いまのところ、治安が悪くてもXが利用されているのは人口が多いからなので、ユーザーが流出したらそのメリットもなくなってしまいます。
ここで疑問なのは、イーロン・マスクにその程度のことが予測できないのか、ということです。
インプレッション数のみを表示すれば、皆がインプレッション稼ぎに躍起になるだろう、と考えるほど彼は単純なのでしょうか?
そうであるなら、彼はXのCEOとしてはまったくその資質を欠いている、としか思えません。
とはいえ、まったく希望がないわけでもありません。
もしいいね数を非表示として、ユーザーがX離れを起こすなら、さすがにイーロンもこの改悪を止めるのではないでしょうか。
それをせずに、収益至上主義のやり方を貫くなら、いよいよXは終焉の時が近づくでしょう。
SNSとしては存続できるのかもしれませんが、もはや言論や交流の場としてはまったく魅力がなくなってしまいます。
今後はBlueskyはじめ、他のSNSがさらに台頭するでしょう。
このようにX崩壊の危機にすらつながりかねないいいね非表示化なのですが、それでもなおここに期待したい気分もあります。
前回も書きましたが、現状ですでに十分Xの治安は悪く、「障害者は子供を産むな」といった投稿に一万を超すいいねがついてしまう状況になっています。
いいねが非表示になれば、この状況も多少はマシになるのではないか、という希望にすがりたい部分もあるのです。
いいね数は、インプレッションよりも「質の評価」になります。ヘイト発言がその質を高く評価されているかのような現状は、改善されるべきでしょう。
評価軸がインプレッション数しかなくなれば、ひどい発言を見ても「単に話題になっているだけなんだな」と判断することもできます。
その発言に同意する人が多いかどうかはわからないのです。
ただし、上述のとおり、質の良い発言もその質を評価されているかどうかがわからなくなってしまうので、良質なアカウントも発言のモチベーションを失うかもしれません。
結果として収益目当てのユーザーばかりが得をするなら、治安はますます悪くなってしまうのです。
イーロン・マスクがこの改変をする意図はわかりませんが、普通に考えて、「差別発言に多くのいいねがついているのを不可視化する」ためではないでしょう。
イーロンはトランプのアカウントを復活するような人であり、ポリコレを重視しているとは思えないからです。
そんなに差別に敏感ならもっと多くのヘイトアカウントが取り締まられているはずですし、そうなっていない以上、いいね数非表示には別の目的があると考えざるを得ません。
やはり、これは収益至上主義のなせる業なのでしょうか。
それなら、Xの未来は暗いものになりそうです。
ブルースカイは現状、Xにくらべれば治安はかなり良いです。
収益プログラムがないので、インプレゾンビがいないからです。
そもそもXの悪さに辟易して移住してきた人が多いので、ここはもっといい場所にしなければ、という共通了解が住民の間にある程度存在しています。
差別的発言に対してもXよりも厳しいので、ポリコレを嫌う人には住みにくいでしょうが、平和的なやり取りがしたい人にとってはXよりずっと居心地がいいでしょう。
まだ人口が少ないので、商業活動をしたい人には物足りないでしょうが、今後Xの失策により移住してくる人が増えれば、状況は変わってくるでしょう。
いいね非表示がXとブルースカイの未来に与える影響に、今後も注目です。